おしりをふいてね by うんこの妖精 | 厠(かわや)イヤミ百景

おしりをふいてね by うんこの妖精

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「おんなのこは、
 おくまできちんと
 こしかけてね。」


人に物事を伝えようと思ったときに肝心なのは、こちらサイドよりも相手サイドの立場になって考えることである。


言いたいことがたくさんあるのはよく分かる。
でも、ここは
「あっ、ガスの元栓締めたかしら?」、
「SUICAのチャージ足りてるかしら?」、
「卵が先かしら、ニワトリが先かしら?」


と、グッと踏みとどまり、相手の気持ちになって考えるのである。


子供相手のトイレで貼り紙の文章に漢字を使っては、多分相手は理解出来ないかもしれない。その上、殺風景な白い紙よりはちょっとデザイン性があった方がいいかもしれない。なんだったら可愛らしいイラストもあった方が興味を持ってくれるかも?

と、子供目線で考えた結果が上のものだ。


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一見すると、今からボーイフレンドとキスでもするかのようなポーズのお嬢ちゃん。しかしキスを相手は、ボーイフレンドではなく便器だ。
しかもお尻で。


言いたいことはことのつまり、「こぼすんでねえぞ!」と言うことなのだが、女性という体の構造上、狙い撃ちということは極めて難しい。

「幼きころから男女分け隔てなく育てられてきましたから、私は割と立ちションだって得意なんです。でも好きな人の前では、さすがに女の子だから座りション!」といった人ならともかく。まず、目の前で用を足されても困るという話だが、雪の上でおしっこで絵が描けないように体の構造がそうなっている。

ご飯はよく噛んで食べなさいと言うが、この場合はよく座りなさいということだ。

よく座り、よく出して、そして


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「おしりをふいてね」

よく拭けと。


忘れていませんか?幼き頃のことを?既に常識だと思っていることは大人になったからこそ当たり前のものに思えるだけで、幼き者からすれば「なんでやねん。どないやねん。どないなってんねん?」状態なのである。

社会のルールとして教えられてきたからこそ、それは常識となりえる。
翼がないと気づかされたときから、空を自由に飛べないのかもしれない。
幸せというものを知ったからこそ、不幸を感じるのかもしれない。
他のみんなが頼んだ「炒飯セット」「餃子セット」にはミニ中華スープがついてくるのに、私のだけについてこないのは、注文したのが「ラーメンセット」だからかもしれない。

それが常識なのだ。

下着でも、まあ吸収することはするけども、皆さん拭くことになってるんだから君も拭いてねということだ。
便器周りにボタボタ落とされても困るというのもあるだろう。


女と男は相反する鏡。女の子がいれば、もちろん男の子も。




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「おとこのこは
 まわりにとばさない
 ようにしてね。」


割と具体的な注文が男の子に出されたようだ。
女子と違って、グリップ&コントロールが可能なジョイスティックを装備している男子。
例え公共の乗り物運賃が半額の子供だろうが、男子として己の竿さばきに責任を持って行動しろということか。

かつて「キャプテン翼」というマンガにて、「ボールは友達」という言葉を耳にしたことがあるが、そうじゃない。

本当の友達はここにいる。

夏場は一緒に暑がってくれるし、冬場にはカイロ代わりにもなる、一年中わりと蒸れている憎い奴。つらいときも悲しいときも嬉しいときも一緒に時を過ごしてくれるシャイポールボーイ
そいつと友として上手に付き合っていけるか、はたまた敵として袂を分かつか(可能なのか?)は自分次第。

幼き頃から、支配するか、支配されるかの勝負だ。
まあ、たいていの大人は支配される側に回るけども。




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「あけてね」
「きれいにつかってね」


男子への注文は終わることを知らない。

普段は無意識に行動しているが、こうして言葉として書き連ねられると、たかがトイレでの排泄作業だとしても子供たちにとっては一仕事かもしれない。


「おしっこやウンチが大変だから、今日からご飯食べるのやめるよ。将来、絶食道場開くから、僕。入信者から宿泊費はブン取るわ、わけの分からない酵素を高く売りつけるわで親孝行するね。大丈夫、大丈夫、なんでもかんでも”ダイエット”ってつけときゃ来る奴いるから。ね、ママ!あっ、税金の面もあるから宗教法人にしないとね!」といった具合にはいかない。そんな将来末恐ろしい子はいらない。

アニマルプラネットの一員として生まれたからには、食べては出すという行為からは逃げられない。
そんなジレンマもなんのその、トイレを綺麗に使える強くたくましい子に育ってほしい。


そんなトレイの中での作業に多少の違いが見られる男女でも共通事項というのがある。
可愛らしいポスターの下のところに、ひっそりと・・・




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「みずを ながしてね」

それを忘れちゃぁおしまいよ!なのである。
なんでも大人として当然と思わず、子供の頃の気持ちに戻って、子供目線で考えられる注意事項を全て想定しておかないといけない。

最近だと自動水洗のトイレもあるから、事前に言っておかないと水は勝手に流れるものだと勘違いするお子様もいるだろう。

子供だろうと自分の行動には責任が伴う。
トイレ内での己の行動次第で、次に使う人にどういったバトンを渡すかが決まってしまうもの。もし、最後の最後に流し忘れてしまった日には、なにも知らずに次に使った子供に、教育的にあまりよろしくない影響を与えてしまうかもしれない。俗に言うTO・RA・U・MAである。

大人でもびっくりなのに、繊細な子供がそんな事態に遭遇してしまったら、次からトイレのドアを開けるのに何かしら恐怖心を憶えるかもしれない。

そんなことが起きない、起こさせないためにも、次の人へのバトンタッチはしっかりしてほしいところだ。






・・・・・・さあ、ここまでは序の口。
子供に伝わりやすいように、ちょっと大人が媚びてみただけだ。

大人の世界というのは、そんなに分かりやすく出来ていない。大人というものは、そこには存在しないけども確かに存在するものを読むということを必要とされる。
よく「空気」といった言い方もされるが、行間を読むが如し自然と読み取らなければならない事柄がある。


可愛らしいポスターのさらに下に参ります。






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「使い方・特徴」


どうした?マウスのみで「ペインター」にて描いてみたのか?
それとも場末の居酒屋の箸袋にて酔っ払いが描いた落書きか?

新たな異次元空間への扉が開きつつあるかのように、空間がねじれてしまっている。



もうちょっと引いてみよう。



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「C40幼児用腰掛式便器(トラップなし)

低年齢児の体型に合わせた
腰掛式の便器です。おまるの
ように前向きに座ったり、家
庭と同じように後ろ向きに
座ったりと使い方は様々で
す。(便器高さ150mm)           」



そんな便器の説明。
あきらかにお子様相手には話し掛けてはいない。

子供が分かる単語は「おまる」のみ。

同伴される親御さんに対してのスピーチだ。何も悩むことはありません!前でも後ろでもいいんです!お子様の座りやすいように座らせてあげて下さい!と。

ここで、先ほどのイラストの意味が分かってくる。確かに前向き、後ろ向きで描かれている・・・・・なにか・・・・・白いの。なんか、うんこの妖精みたいなのが鎮座している。

先ほどの子供たちに向けられて描かれたポスターのイラストと雲泥の差。
子供のものにはちょっと媚びた絵を載せるけど、大人はこれでいいよな?な?な?分かるやろ、自分?といったぞんざいな扱いである。


とても同じ壁に貼られているものとは思えない。
先ほどのポスターのすぐ下に貼られているものだから、子供の目線としてはこちらの方が目に入るのではないだろうか?


これが大人の世界なのだよ。王子様とか、魔法使いとかいないんだよ。
いるのは、うんこの妖精



話はこれだけでは終わらない。まだ下に行こう!





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「 おしりを
 ふいてね」


どうしたものか、グリム童話の挿絵の1ページでも開いてしまったかのような絵と、それに添えられた「おしりをふいてね」の文字。


どうやら、また子供たちに語りかけ始めたようだが、何かがおかしい。
なんというか、もう大はしゃぎではないか。

「おしりをふいてね」どころか、小さな子供がトイレットペーパーで遊ぶものだから「おしりがふけない」の方が正しい気がする。
むしろ、「おしりをふいてる場合じゃねぇ!!」といった感じだろうか。


小さい子のはしゃぎっぷりも目に余るが、女の子もまんざらではないご様子。
トイレで異様にテンションが高くなってしまった子供たちが反面教師としてイラスト化されている。

言わないといけないことは、「まず落ち着いていこう!」
そして、このイラストはどこから来た?




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この構図の絵を見ただけでも楽しい気持ちになってきそうなのはなぜだろう。


むしろ、最初の作りこまれたポスターよりもこちらの方が、子供の食いつきはいいのではないだろうか?
大人が子供目線を狙って作りこんだものより、少し雑なところやツッコミどころのあるものの方が子供も興味を持つかもしれない。「これ、なんですのん?」と理解できるかどうかは置いておいて。

アンパンがマントつけて空飛んだり、汽車に顔がついていたりするものが人気があるのは、大人が求める完璧さを子供が必要としないからかもしれない。



大人でも理解出来ないことがたくさんある。
元・子供だったはずなのに。






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「厠イヤミ百景の一景」


http://www.leolio.com/index/KAWAYA/KAWAYA_menu.html


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神奈川県、某施設内にて
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イラストレーター leolio.com / 森本レオリオ
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