これこそ犬のトイレ
「ペットトイレ」
「このM男は私のペットなのよ!この豚野郎!!」と女王様が強気に出ようが、ここまで大きく切り抜いた文字が貼られているからには、人間様が使っていいトイレであるはずがない。
窓ガラスだし。
さて、ここは某商業施設の屋上。
屋上と言えばなんでしょう?遊具?いいえ、ペットショップです。
そんなペットショップの前、スペースだけならいくらでもある屋上に設置された一見すると、タイヤのないワゴン車。そんな見てくれのボックス型のペットトイレがあった。
どなたでもお連れになったペットもとい、ご家族の一員にトイレをさせていい(人間の血が通ったご家族は駄目だ)。
「わんちゃん用
トイレ 」
当然、ペットにも限りがある。
いくらお宅のカモノハシのハシズメ君がかわいくても、アリゲーターのワニガワ君がお手が出来たり、はたまた「ワシントン条約って何?食べれるの?」とブラックなルートで手に入れたチンパンジーのモンティ君が一人でお着替え出来ようとも、一般的なペットというものはある程度決まっている。
そこら辺を散歩させても許されるペットこと、人間の代表的パートナーはお犬様だ。
救急車もとい出張フィラリア予防注射車のような後部の窓ガラスには、飼い主様のお気を逆立てしないように
クッションを置いた「わんちゃん」呼びの貼り紙が。
「犬用トイレ」ではなく、「わんちゃん用トイレ」なのだ。
一応大切なパートーナーちゃんなので、敬称が必要とされる。
「様」だと大げさだけど、「犬」と呼び捨てでは犬だって怒るかもしれない。
常に上司の息子さんを呼ぶような感じで距離を取って触れ合いたい。
そして右側の扉の下には、
「ペットの水のみ場」
一瞬、アシカでも上って来そうな台に見えたが、私の乱視のせいに違いない。
急に「わんちゃん」から「ペット」呼ばわりに格下げされたのは、スペース的に文字数に制限があるためであろう。
ワゴンボックス内は台所のようなシンクも常設されており、そこで水を汲んでペットに水をやることも可能となっている。出してから飲むか、飲んでから出すかの問題である。
そして中に入ると、先ほどの窓ガラスには内側から様々な貼り紙が貼られていた。
それにしても私の左の足元にも、右の足元にもペットがいないのが心もとない。
エアギターならびに、エアドッグでもいることにしよう。
これで「春の陽気のせいで・・・、もしくはアメリカ産の牛肉を食べ過ぎたのね・・・」と言われる人にまた一歩近づいた。
「うんちは
必ず拾って
捨ててねっ」
まるで「ご飯は残さず食べようねっ」にも似たノリのそれ。
わんちゃんトイレ内だから通用するものの、これが街中にあるとちょっと驚く。
かなり犬の知能に合わせて作られた貼り紙だ。読むのはヒューマンビーイングしかいないのに、犬寄りの貼り紙。
そして言い放ってしまっている「うんち」。
「うんちくの間違いでは!?」と疑問がよぎる暇も与えず、にっこりと微笑むうんちのイラスト付きだ。
手足に見えるのはきっと胞子だろう。
一緒に写るは「うんちぶくろ」。
結婚式の披露宴にて、「人生には大切な袋が三つあります」なんて挨拶の際に使える「袋」が一つ増えましたな、皆々様方。
「うんちぶくろ」の上に見える黒いシルエットはなんだろう?
あまり深く考えると、とてもいけないものに見えてくるので見なかったこととする。
閉幕。
その下には、
「次に使う方のために
うんちは、捨てて下さい!
ペーパーも用意してあります。
ご自由に使って下さい! 」
何か大阪あたりのご老体の婦人の髪の毛の色のように、自然発色ではオウムくらいしかいないような毛の色をした犬が、三角木馬にまたがりながらレクチャー&お願い。
そう、ワゴンの床には取り替えられる犬のトイレシーツが敷かれており、そこで用を足せとのこと。
しかしここで言う「ペーパー」はそのことではない。それはおいおい後ほど。
他には、
「ワンちゃん・ペットの排
泄物の処理は飼い主
さまの方でお願い致します。
*トイレからはみ出てしまった
おしっこはふいて下さい。フンはとって下さい。
シーツはそのままでお願い致します。 」
いくらなんでもワゴン内にトイレシーツが隙間なく敷き詰められているわけでもなく、さすがのお犬様もいきなりワゴンに来てシーツ内に見事に大なり小なりを産み落とせるわけもなかろう。
小に至ってはシーツの吸収能力を超えガンジス河を形成する犬もいるだろう。
そんなときだ、ふいたり取ったりするのにはペーパーが必要とされる。
こんな感じになっております。
「ご自由に
お使い下さい
うんちはトイレットペーパーでとってポイッ」
いらなくなった雑誌・新聞紙を資源ゴミとして出す際に活躍するナイロン紐に吊るされたトイレットペーパー。
体操選手がつり輪にぶら下がっているようにも見える。
きっとこの純白のトイレットペーパーが、我が身を呈して犬のクソを取れと言っているのであろう。
そして横には犬のフンを捨てるべくゴミ箱が設置されている。
ゴミ箱満タン時には、フンや尿でそこそこの重さを誇ることだろう。
それにしても幼子のような飼い犬を相手にしているためか、「うんち」連発である。
ここまで「うんち、うんち、うんち」と言われると、何かしら抵抗のたがが外れて来るというもの。
普通の人間のトイレでも、「うんちはしっかり流しましょう」とか貼り紙に書けばいいのに。
トイレという空間はある程度、恥も外聞もない空間のはずだ。
昔こういうのは見付けたけど。
http://ameblo.jp/iyami-toilet/day-20051124.html
それでは、我がエアドックは吠えもしない、飯も食べないし、うんちもしない。もといたまに空の一点をジッと見つめたりもしないので、このワゴンから去ることとする。
ガラス張りのトイレ。
犬のトイレならではと言いたいところだが、私はガラス張りの人様用のトイレを札幌に知っている。
最後に、
「ノーリード禁止」
冒頭の話ではないが、喜んで己に首輪をつける人間もいるけども。
----------------------------------------------------
「厠イヤミ百景の一景」
-------------------------------------------------------
最近の更新(適当に
・女子マネージャー列伝 (更新予定)
・天が呼ぶ 地が呼ぶ お客様が呼ぶ!消費者言いがかり連絡会 (更新予定)
「多摩は東京さ vol.1
多摩は東京さ vol.2
多摩は東京さ vol.3
多摩は東京さ vol.4 」・猫烏丸OP (更新予定)
千葉、某商業施設にて