機械警備
「*只今のお時間のお客様用
トイレのご利用はご遠慮
下さいませ。
(機械警備作動中です) 」
例えるなら線路沿いの踏み切り。
地面を踏み続けることを一旦切られるからこその踏み切りにある遮断機だ。
黄色と黒の色のイメージよろしく、ここにも似たような色合いの貼り紙が。
道路標識の一旦停止のマークまで頭に入っている。
ではここは電車が発車オーライ、ヨーポッポと走りこんで来るかと問われれば、その可能性はほぼ0パーセント。だって、スーパーの中なんだから。
最近ちょくちょく取り上げているが、店舗の構造上バックヤードにしかトイレがないスーパーが結構存在する。そのバックヤードへの扉の前に、遮断機の如しとピンと張られたロープにこの札がぶらさがっていた。
ここから先は入っちゃだめよと。
では文中で指す「只今のお時間」とは?
この写真を撮ったのは夜の23時過ぎ辺り、スーパーに訪れる時間としては結構遅い方だ。「晩御飯」と呼ぶのは許されるとして、当に夕方ではないので「夕ご飯なににしようかしら?」と顎に手を当てて考えていい時間ではない。
むしろ体のことを考えると、「こんな時間にご飯食べて大丈夫かしら?」と思いたい。
かといって、お惣菜コーナーの品が半額のシールを貼られて全滅かと問われれば、実はそうでもない。
23時でもまだ2割引程度で、まだそこそこ惣菜は残っている。
というのも、ここのスーパーが24時間営業の店舗だからである。
「コンビニ?なんねそれ?うちがあるがね。」と言わんばかりにオールナイトで、こうこうと辺り一帯に明かりを照らしている。人間と虫寄って来いということだ。
スーパーはコンビニの如し、店員ニ・三人でやっているわけではない。
そこそこの人数の方々が働いておられる。しかし、その人数が夜もそのまま配分されているかと言えばそうでもない。
夜にせっせとお惣菜をつくる人はいらない。
レジ全部を稼働させる人もいらない。
そんなに店出しする人もいならい。
ということもあってか、私が訪れた時間にはちょうどバックヤードから数人の方々が私服に着替えて出てくるところだった。彼らの肩越しに見えるバックヤードは、人気もなく未知の洞窟のように漆黒の闇であった。
今日の仕事が終わり私服となった店員さんたちは、先ほどの立入禁止が掛かったロープを邪魔そうに越えて、店内を抜けて外へと出て行かれた。
とても一般の買い物客が入っていい場所ではない。
尿が漏れそうだろうが入っていいわけがない。
人のいなくなったバックヤード。舞台裏は人の姿もなく見ようと思えばモロ見え状態である(電気をつける必要あり)。
そこへトイレを理由に入られた日には、中には勝手にスライサーで大根を切ったりする人がいないとは言い切れない。驚くほどよく切れても勝手にスライスしては駄目だ。
または、掲げられた社訓を暗闇の中で読み上げる人もいないとも言い切れない。
そこへ対応すべくは、夜間のトイレ使用禁止の文句と、「機械警備作動」中の文字。
タイヤのない車は走らなくても、そこは21世紀であったりなんかして人がいなくても誰かが警備をしてくれているらしい。しかも人ではなく、機械だというではないか?
そうは言っても、無駄に二足歩行型のロボットが「生身野郎は許さねえ!オレさまの機械のボディに平伏せ!」とミサイルを撃ってくるわけではなかろう。
<破壊警備>
たいていが赤外線、または熱センサーか、もしくはカメラだ。
どちらにしても入った日には最終的に人のお世話になる。
ちょっとのトイレのはずが、ヘルメットをかぶった人に下手に捕まると、数時間トイレおあずけの刑になってしまうことだろう。
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「厠イヤミ百景の一景」
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・天が呼ぶ 地が呼ぶ お客様が呼ぶ!消費者言いがかり連絡会 (更新済み)
・猫烏丸OP
『全国キャンディーズ連盟2008大同窓会(前編)と志村けん』(44分25秒)
都内、スーパー内にて