行水はあかん
「 お 願 い
他のお客さまからの苦情もあり、
行水など 風紀上好ましくない
行為は禁止ます。
駅長 」
関西地区の某地下鉄の駅のトイレなんだが、見ての通りの苦情ぶり&予想される現状。
行水、それは体の洗濯。
トイレだけあって水には困らない。
都合のいいことに改札の中ではなく、改札の外のトイレだ。
そして地下だけあって、吹きっさらしの風に肌身を縮めることもなく、行水が楽しめることとなっている。
楽しんでもらっては困る。
想像してもらいたい。
あなたが何気なくトイレに立ち寄ると中には半裸、もしくはmore裸(ら)のおじ様なんかがいて、これでもかと水浴びをしていたら無条件に驚いてしまう。ただただ驚いてしまう。
むしろ迷惑だ。
そりゃあ駅員さんにどうにかしてと苦情の一つも言うだろう。
普通のトイレかと思ったら、半裸の男性が待ち受けていただなんて。
そしてこのような貼り紙が存在する背景の一つに、このトイレがある駅の周辺では、昼間から一体何をしている方なのか、赤ら顔で職業不明なおじさん方がうようよとうろうろしている。
「職業:阪神タイガースの応援」と言っても過言ではないだろう。
つい十年近く前も世紀末であったが、もう既に21世紀の世紀末が訪れたかのように、周辺からは退廃とした空気も流れている。また一帯には男性ミストもたんまりで、まだ声変わりしていない少年でさえヒゲが生えてきそうだ。
卵か先かひよこが先か、退廃した街が先かおじさんが先か、なかなか串カツが似合う場所だ。決して嫌いではない。
それ以外にちょっと行けば、青いテントで暮らしておれらる方々も結構おられる。
あるときは道の脇に、または公園の茂みの奥にと、青テントの市場かのようだ。マルシェだ。
まあ所謂一つの青空建築家の方々で、自分の暮らす家を好きな形に自由に作ったり、いざというときは家ごと移動をされる。
そういう中々ワイルドな方々がお揃いなだけあって、中にはトイレでひとっ風呂を浴びられる方もいるようだ。
まあテントの方々は決まった公園などの水を使用するのが基本で、滅多にどこかのトイレで水浴びなどはしないと思う。というのもテントのおじさま方も、地域の皆様ともちつもたれつのところがあり、下手に周りに暮らす住人の方々の迷惑行為をすれば、自分の住処を自分で無くすことにも繋がってしまう。
彼らは忍者であり、いるけどいない。あるけどない。「無」というものはあるけど、「無」自体は存在しないという、お互い干渉しない暗黙の了解が保たれていての生活がある。
まあ推測に過ぎないが、どちらかと言うと職業不明な赤ら顔のおじさんの線が濃厚かもしれない。
きっとその目には、トイレの入口に「湯」という暖簾と文字が見えているのだろう。
しかも入浴料はただで水を浴び放題・・・。
そうなのだ、トイレではお湯は出ない。さすがにそこまでは駅もサービスは出来ない。
そこら辺は水を吸い込むようなWild&toughな肌をお持ちなのだろう。
どこかのおじさんは今日もひとっ風呂浴びるべくトイレに向かうのかもしれない。
きっと用を足す以上にさっぱりする場所なのだろう。
実際に目の前で遭遇したら、「背中流しましょうか?」は言えないなあ。
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「厠イヤミ百景の一景」
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(第13回大人のためのおもちゃ販売のバイト)
関西、某駅構内にて