ウルトラマントイレ
「壁に沿ってお並びください
→
ご協力お願いいたします 」
別に矢印は燃えてはいない。
トイレに溢れるその水気から印刷が滲んでしまったのだろう。
水から炎が生まれるなんて、世の中ってデラ・ワンダーランド。
それはそれで置いておいて、トイレの入り口入ってすぐの通路に上の貼り紙。
下手すれば一つの村や町の人口が余裕で一日に行き来する大きな駅のトイレ。そりゃあ混雑するときもザラにある。
そうなると、「我が!我が!我が!我の排便が先!」というところで、その混雑を整理すべく上のような貼り紙も必要というもの。
そんな水気を帯びた炎の矢印の先にあるのは、
整然と並ぶ小便器の間に一定間隔で貼り紙が貼られているのが見えるだろう。
ちなみに、壁に沿って並べとまで言っておきながらトイレの中がガラ空きなのは、これの撮影時間が日曜の朝六時過ぎという、朝帰りか山登りの人しかいないような時間帯だからである。
これが平日昼過ぎなどであった場合に、撮影は到底不可能だ。
わざわざこの時間に足を運んだよ。
では、クローズアップ。
「便器の洗浄について
タイマーを
使用してます。 」
小便器の前に立ったが最後、突如と目の前に表示されるタイムリミット!その時間ジャスト一分!
こくこくと迫るカウント0までの道!早く尿を出し切らないと!
カウント0になったとき、突如と小便器にあるはずのないシャッターが閉まる!
そしてシャッターにより跳ね返るSB(小便)。あなたのズボンの前は突如と見たことのない星の世界地図が刻まれる・・・、ということはない。
便器の前に立っても、なかなか尿が出にくいという持病を患っている方にも普通に使える。
事の真相は、どうやら小便器の前の壁にあるセンサーを無効にして、時間的サイクルによって水がまとめて流れるようになっているらしい。
確かにあのセンサーと言えば、小便器の前に前に立ったが最後、モビルスーツだか何かしらのモノアイの如くポワンと映る赤い光。人の姿をロックオンしたと云わんばかりに、その赤々しさと言ったら、赤外線スコープのついたライフルのようだ。
そしてあなたが尿の御用が済んで、立ち去ると共にそのセンサーが「あっ、済んだ?もういい?流すよ!」と、水が流れ出すのがよくある形だ。家のトイレではなかなか見掛けないがな。
その人の姿を感知して流れるセンサーをわざわざ切って、「あっ、流そうとしなくていいんで。こちらでタイマーで一定間隔で水を流しますんで!もう次の方に場所をお譲り下さい。手を洗って出てね。手を洗わずにエスカレーターの手すりとか持っちゃあ駄目ですよ!!」という処置。
と言うのも、私の推測になるが、一番最初の貼り紙が貼られるほどここのトイレの一日の利用者は多い。
その数、みんなが一円ずつくれたら、ちょっとしたセレブになれる可能性を秘めているほどだろう。
その人数の人が小便器の前に立って、用が済んで去る度に、水がザー!!
立つ→去る→ザー!!
立つ→去る→ザー!!
立つ→去る→ザー!!
立つ→去る→ザー!!
立つ→去る→ザー!!
立つ→去る→ザー!!
立つ→去る→ザー!!
立つ→去る→ザー!!
繰り返していると、思わず、「決別戦隊 タチサルンジャー」などと架空の団体が浮かんで来そうになるが、そこをグッと抑えて、もの凄い人数の人にそれを一日の間に繰り返されたら、その水の使用量ったら、「100人乗っても大丈夫!!」ではないが、「100人でお風呂に入っても大丈夫!!ちょっと狭いけど!!」以上の水の量だろう。水道代も然り。
<立ち去る手段は選ばず・・・>
DB(大便)の方は仕方ない。
こればかりは、本人の意思でこまめにちゃっかり流してもらわないことには、管理側としても手が出せるものでもないだろうし、そこに手を出したくもないはずだ。だがしかし、SB(小便)の水の量ならコントロールが出来るのではないだろうかと、考えついたのがタイマー制の導入だろう。
これで、人数分の水を使うより水を節水することが出来ると。
それを知らずに、「あれ?水が流れないど?」と疑問符を打たれる前に、小便器と小便器の間にて貼り紙でタイマーの導入を通知しているのだ。
タイマーがどれくらいの時間の間隔で水を流すのか?
このときのように日曜の朝六時過ぎなど、あまり利用者がいないような時間はタイマーの感覚を大きめに取っているのかなど定かではないが、水の節約には一役買っているだろう。
人が利用する度に流れる方が、便器の清潔具合に関しては少しはキープ出来るだろうが、これも利用者が多いトイレの知恵というものだろう。
個室の方の貼り紙も覗いてみよう。
「自動洗浄トイレ
AUTO-FLUSHING TOILET
このトイレは、便器からはなれますと
自動洗浄いたします。 」
小便器の自動とは、また違う自動制。
さすがに二足歩行までこなして、「やあ!僕、ベンキ-01!!ご飯はクレンザーを好むよ!!」としゃべったりは出来ないが、駅の改札も自動ならトイレも自動。
いろいろとこちらの思うようにはいかないようだ。
まるで恋愛模様だな。
その下には、
「とくに水を流したい時、ボタンを押すと 「水」と
「せせらぎの音」が、流れます。
*ボタンのランプ点灯中は、消えてから押して
下さい。 」
英語の方はもう省くが、別に何もかもトイレ任せというわけじゃない。
こちらの意思でちゃんと水を流すことも可能だ。
いちいち水を流したいときに、お尻をあげて「もう終わったとですよ!」と用の済んだフリをして、センサーを騙すような必要は一切ない。ちゃんと、ユーキャン・ドゥーイット!だ。
それは決して通信教育ではない。
「とくに水を流したい時」
特に汗を流したいときはフィットネスクラブに行くか、女性専用車両に勇気を出して飛び乗って、周りの視線に耐えつつも終点まで乗り切れば汗を十分かくことも出来るだろう。後者の方は脂汗の部類に入るけども。
そうじゃなくて「とくに水を流したい時」、書けば書くほど不思議な匂いのする日本語だが、大便器の尻センサー任せじゃなくて、「自分の意思で水を流したいとき」と書いて「自立」したいときにはボタンを押すことで、水と「せせらぎの音」が出るようになっているようだ。
これがボタンを押すと共に、どこぞのおっさんの「含み笑い」や「引き笑い」が響き渡るようでは、広がっていた肛ノ門様もこれ以上ないってくらいに縮み上がるところだろうが、そこは渓流とも呼べる「せせらぎ音」。
決して、「せきばらい音」ではない。
その効果音とは、よくトイレの最中に、時と場合と部屋とピアノと私の調子によってどーしても出てしまう、自然な破裂音なりをごまかすためにあるものだ。さすがに体から、「スタンハンセンのテーマ」ほどの音を出す人はいないと思うが、壁一枚、言ってしまえば、板一枚向こうは他人様ばかり。そこで夕暮れ時、放課後の校舎を歩いていると何処からか聞こえてくる、吹奏楽部の練習のような音は聞かせたくないというのが人間の心情。
その音を誤魔化すために、よく水を流す音で誤魔化す人も多いと聞く。
しかし管理している側としては、その吹奏楽部の練習音を掻き消すためだけに水を大量に流されていては、「もう、うちらの飲み水すらありません!」状態になってしまうところだろう。そのために流れるは、別の効果音。
決して、「ブビ!ブビビビビビビビ!ププッピブー!!」など、まるで発情期の豚の鳴き声のようなものではなく、とても爽やかなものとなっている。現実の匂いはともかく、まるで空気のうまい高原にいるかのような効果音だ。
醜態音を誤魔化すために効果音が使われるのと共に、例え水を流されてもその効果音がある分、一回分の水もある程度少量に抑えられるという両方の利点があるようにも思える。
どちらにしても利用人数が多いトイレは、水を如何に節約するかに知恵を絞っているようだ。
まあ、そのボタンが、
「ライトが消えた際は
少しお待ち下さい 」
ボタンじゃないのは愛嬌。
さあ、赤く光るライト。
そしてタイマー。
すべてはある者に対しての助走でしかなかった。
では、最後に洗面台にあった貼り紙を見てもらおう。
パッと見で情報量が多いので、あまり宣伝になりそうなところは省かせてもらう。
この中でも、やはり一番に目が行くのは右端のはっちゃけた男の子の姿であろう。
「今年、夏の箱根は
わくわく光線に
ご注意を! 」
私はあまり電車の車両に詳しくないでの、電ライナーだか何ライナーだか知らないが、列車にまたがり、組んだ腕から虹色の光線を出している少年。最近の英才教育は人間の未知の力を引き出したのであろうか?もしくは逆にゆとり教育故か?
そのコピーによれば、これが「わくわく光線」なのであろう。
こんな笑顔であるからには、この少年にとって光線を出すのは朝飯前に違いない。
むしろ夏休みの宿題の方がよっぽど困難を極めるはずだ。
いとも簡単に光線を出されてしまうようでは、子供を叱ることが出来ない大人が増えることだろう。
特に箱根方面は、宿題が出来なかった子供達が腹いせに集中して光線を照射してしまうのでご注意・・・。
まあ、生ぬるい妄想は忘れてもらいたい。
ではなぜ故にこの子供は光線を放っているのだろう。
それはあるヒーローをなぞっているからである。
その答えは貼り紙のある部分に記載されていた。
「ウルトラマン
スタンプラリー
同時開催! 」
今までのタイマー、ライト。全てはこれの伏線であったのだ(偶然)。
全てはウルトラマンのために。
ウルトラマンスタンプラリーのために。
上のお子様が組んだ腕から光線を放っているのも、ウルトラマンがあってのことだったのだ。
ある鉄道会社の箱根方面のフリーパスの告知であるが、それと共にウルトラマンスタンプラリーもやっているとのこと。
スペシウムではなく、「わくわく光線」なのは、前者だと箱根一帯が燃えてしまうからだ。
「わくわく光線」を出している人は見掛けたことないが、「好き好きビーム」を出し合っているカップルをたまに見掛けることはある。
デビルビームを出したい。
デビルイヤー(地獄耳)出来るオバさんなら、近所に少なくても一人や二人はいるよね。
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こちらもどうぞ↓
GIGAZINEさん
「男性用か女性用かなんとなく理解できる世界のトイレの標識いろいろ」
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070912_bathroom/
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「厠イヤミ百景の一景」
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・天が呼ぶ 地が呼ぶ お客様が呼ぶ!消費者言いがかり連絡会 (更新済み)
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都内、某駅構内にて