すっごーい事になってしまいます
今年に入って某テレビ番組にて紹介して頂いた際に、出版化するかどうか実際の編集者に意見を伺う場面中に某編集の方が「女性受けがしない」と意見を発した。
逆に女性が入れない男性トイレの内部状況が分かるという意見も頂いたのだが、それでも最近巷に溢れるものの多くが「若い女性」をターゲットにしていることが多いのが事実。
「女性受けしない」という言葉は私の中では引っかかったままだ。
ではだ、ではでは、逆にもっと女性が入り込めないところに入って厠貼り紙レポートすればいいんでないかい?
より男だけの世界のレポートすればいいんでないかい?
厠貼り紙探訪家としての火がついた。
というわけで、今回の厠イヤミ百系は18歳未満は読み飛ばしてもらいたい。
そう、今回行ったのは「ビデオ試写室」です。
さていきなりそんな部屋名を言われたところで、「そこはどこ?角を曲がったところに立っている人は誰?」という状況の方もいらっしゃると思う。私もこの度初めて入っていろいろ驚いた。
まあ簡単に店の概要を説明すると、営業をサボっているサラリーマンや、外で時間の余った男性や、軽くむらむらきた男性や、急激に一人っきりになりたい衝動に駆られた男性などが利用するところです。
私が入ってみたところは、ビルの階段を上がって二階のドアをくぐってみれば、一見すればビデオレンタル屋。あきらかにビデオレンタル屋。でもビデオレンタル屋と違うのは、そこで好きなビデオ(今のご時世ほとんどDVD)を己の好みと体調と気分で数点チョイスして、そのDVDをプライベートの確保された個室で鑑賞するというシステムになっているところだ。
家にまで持って帰らなくても、すぐさま己のチョイスしたDVDをずらっと並ぶ部屋の一室で鑑賞出来るのだ。
まあここまで書くとマンガ喫茶などと何ら変わりはない。
だがしかし、棚に並んでいるビデオ/DVDの種類が「名犬ラッシー」や「フランダースの犬」など、子供の情操教育に大変およろしい類のものが一切ない。犬が出てくるものもあるにはあるのだが、ほとんどが、9.9割方が悪魔くんが12使徒を召還するときに声に出す呪文のような、エロイムエッサイム系統のものばかりだ("イムエッサイム"のところは削除して読んで下さい)。むしろ子供の目からは遠ざけるべきものしかない。
大量に並ぶおエロ・おゲレツビデオ/DVD、目に入るのは肌色か黒かピンク色ばかり。南国のお祭りだ。
システムは時間制になっており、例えば自分のチョイスが甘かった、こんなはずじゃなかった、パッケージと全くの別人が中に映っていた、モザイク無しに誘われればモザイクが入りそうなところをハナっから写していなかったというアクシデントに見舞われても、時間内であればいくらでも部屋に持ち込むチョイスの交換は可能となっている。
そして数本のビデオ/DVDを片手に向かう個室は三階と四階のフロアとなっており、男は言われるがままに指定された部屋へと静かに階段を上る。
個室内は、たいしてマンガ喫茶の小部屋と変わりはないのだが明らかに違う点をいくつか説明しよう。
マンガ喫茶の個室というものが軽く板で仕切られただけで、天井が筒抜けという非常に心細いプライバシー確保で微かに守られているのに対して、こちらと来れば完璧な個室。完璧な部屋です。カラオケの小部屋のようにドアにガラス窓もなければ当然鍵もかかります。
そして映像に集中してもらうためか照明が薄暗い。
中に設置されているのは、リラックスしてもらうためのリクライニングシートと、シートの位置関係からすれば大きすぎるテレビモニタと付属するDVD/ビデオプレイヤー、音声はここからのみのヘッドフォンにリモコン。そしてちょっとした棚に置かれているのはティッシュ箱とウェットティッシュ。
他に何もなし。
あることのみを目的に、あることのみに専念集中してもらうために余分なものは省いたルームコーディネートとなっている。逆に勉強道具なんかを持参してくれば勉強するには持ってこいかもしれない。
ただし、机などないぞ。
一人っきりでなんでも出来る方々のために、一人っきりでなんでも出来る仕様になっている。
ではこのまま行くと風俗レポート風になってしまうのでビデオの話はそこまでにして、トイレの貼り紙の方を伺おうではないか。トイレのある二階のビデオ陳列フロアーへとまた降りて行く。
そこには、なんというか一人きりで問題解決する類の店とはいえ、一応風俗店の類に入るためか「下」に関して全く単語に余計な配慮を配ることもなく、直接的な単語が普通に並んでいた。
「お客様へお願い
トイレットペーパー以外の物を絶対
に流さないで下さい。 また、
一度に大量のトイレットペーパー
を流されますと、詰まりの原因と
なり、うんちが逆流してすっごーい
事 になってしまいます。
皆様のご協力により、美化が保たれ
ています、トイレは清潔にご使用
下さい。
」
外の一般の施設・飲食店では絶対書かれないと思う、至極ストレートなものの言い方。
「うんち」とか言うな。
しかもわざわざ文字の色まで変えて下さって。
「すっごーい事」とは一体どんなことなのか、想像もしたくないが一生忘れられない日になってしまうのは確か。
「うんち」の逆流は人様の手による逆襲よりも恐ろしい。
もし「六月は五月に比べて休日が一つもないよな」とか思われる方が入れば、忘れられない記念日を作るにはもってこいだ。ただし休日にはならないが。
またトイレットペーパーホルダーには、
「トイレが詰まりますので、
絶対に!!!
トイレットペーパー以外の物を
流さないように!!
店主 」
「!」マークを多様するほどの釘の刺し具合。
日頃から逆流までとは言わなくても詰まりやすいのと、過去に何かしら事件が起きたからに違いない。
分からない人には分からないが、こういった店には小道具と言われるドラクエで出てきそうなアイテムがいっぱいある。
普段の生活の中では机の上にあっても全くもって役に立たない。まだコンパスの方が円が描けるし、針の部分で豆腐に穴を空けることが出来て大変便利。
そういった小道具を各小部屋で有料にて貸し出し利用が出来ることにもなっているが、何を思ったかそういったものをトイレにまで持参してしまう人も中にはいるだろう。そしてどこから抜けたかは、とてもじゃないけど私の乏しい想像力では思い当たらないが、どこかしらからかブツが抜けてしまい便器にダイブということもあったかもしれない。
そういえば、ラブホテルの掃除をしていたら、便器の中からコンドームが出てきたという話も聞いたことがある。
まあいろいろ闇の彼方へと流してくれそう便器君だけど、案外弱いんだと。簡単に詰まるんだと。
そしてだよ、トイレの中の貼り紙はこれだけじゃなかった。
むしろ個室内に貼ればいいのにと思うのだが、室内は文章を読ますには照明がちと薄暗い。
それにトイレと何かしら関連付けをしたかったのか、ともかくこういった種の店じゃないと読めないような、なかなか普通のお店では読めないようなものです。
では、どうぞ。
「御客様各位
いつもご利用いただき有り難うございます。
室内での放尿・脱糞行為等の常識を逸した
使用状況は、理由如何に関わらず 発見次第
御客様自身に清掃して頂くか、相当額の賠償を
して頂いた上、以後の御入店をお断りさせて
頂きますので、御了承くださいませ。
店主 」
トイレはここだと。部屋の中じゃないんだと。
同じ部屋を貸すにしてもカラオケ店やマンガ喫茶では見られないような芸のお出ましだ。
まあプライバシーも確保され、一人っきりで何をしてもいい部屋だと言っても、やはりそこは借りている部屋であって自分の部屋ではない。
何がどうなってどういう過程で何かが閃いたのか導かれたのか、そうすることで気持ちいいかもしれないと気付いたのかは知らないが、他人様に迷惑をかけてまですることじゃない。「ゴールして達成してたらこうなっていたんです!」という言い訳も通用しない。なんて言ったって人間は自制心というものがあるんだもの。そこいらのカーペットやベットの上で用を足すペットなどとは違う。
おもらししていいのは、病院を除けば小学校の教室までだ。
同じ文面の貼り紙が普通のレストランのトイレなどにあればさぞや驚くだろうに。
「いるの!?そういうストロンガーな客!?」と。
いやあ、こういった店側も大変ですな。
最後に個室が並んでいるフロアーの廊下にこういった貼り紙を見付ける。
「 申し訳ございませんが
トイレは下のビデオフロアー
をなるべく御利用下さい。
4階は逆流の恐れがある為
小のみの御利用となります
ご協力お願いします。 」
よっぽど何かにつけてここのトイレは逆流しがちなのね。
そんなギャンブルみたいなトイレは怖くて使えない。
いやあ、如何でしたか?たまにはこういう店も。
「女性受け」と言ってもね、女性に媚びた商品って世の中たくさんあるじゃない?
私ゃそういうの嫌いなんで媚びたりなんかはしませんよ、興味を持ってもらえたらそれでいい。
そして忘れていたけど、厠イヤミ百景二周年目となります。
これから変なとこも含めて巡って周りますでのよろしくお願い致します。
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「厠イヤミ百景の一景」
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関西、某施設内にて