矢切の厠
「トイレのご案内
この裏側にある
エレベーターを下りて
左側にあります。(無料)
●●●●●●●館」
ちょっとした丘になっている公園にある、エレベーター乗り場にこういった貼り紙を見付ける。
ではエレベーターに乗ってトイレに向かおうではないか?いざいざ。
「ト イ レ→」
エレベーターを下りて周りを見渡せば、吹き抜けになっている地下広場の壁に大きくこのような三文字が。
一文字、一文字を微妙に区切っているところが「まだまだトイレはこれからよ」と言っているかのようにリズムを刻む。
誘導されるままに矢印の方向へと向かう。
「トイレ
→ 」
さらに現場へと近づく。
「男子トイレ
→ 」
誰のためのトイレなのか、もうちょっとだけ明確になった。この先は男子のための男子による男子トイレだ。女人禁制なのだ。
ではわざわざエレベーターにまで乗ってきたトイレへと足を運ぼう。
「吸いがら・紙・ガムなど
を捨てないでください
:ガム:たん:をはき捨てないでください 」
とにかく何も吐くな、捨てるなということらしい。ガムのことは二回言うぐらいなので、よっぽど許せないみたいだ。
個室の方に目をやれば、
「ご使用後は
水を流して下さい。
(レバーはフタの
後ろにあります。) 」
ん?ご飯を食べるときは口を開けて下さいと言われるかの如し、極、極、極普通のことを言ってはいないか?
ここはお流し無用の「野」ではない。
これが「野」ならば、自然回帰に後のことは任せられようが、ここは皆が使う某施設のトイレ故にここで用を足す人、足す人が出したものを流さずに次々と便器内に継ぎ足して行けば、いずれここの個室は便器から飛び出した何かに圧されてドアが開かなくなること請け合い。
老舗のうなぎ屋の「秘伝のタレ」とは訳が違うのだよ。継ぎ足せばいいという話ではない。
ここはちょっとお年を召した方々が観光に訪れるところなので、ちょっとレバーの場所が分かりづらい方も中にはおられるだろう。さらには困惑した挙句に、小さな声で「SAY GOODBYE 糞!」と投げキス交じりにこの場を立ち去る人もいるに違いない。
そこへ「ちょっと待て、お前さん!それでいいのかい?」とレバーの位置を示すと共に、人間として出したものを流せとこういった貼り紙が貼られているのだろう。
その下には、
「禁煙
みんなのトイレです
きれいに使いましょう」
この貼り紙と先ほどの貼り紙をワンセットとして、こちらから向いて便器の裏の壁に貼られていたのだが、その向かいの壁にも、、、
同じ文面のものが貼られていた(フォントなどは微妙に違います)。
つまり便器に座ると後ろにも前の壁にもと、強迫観念に駆られそうなほど「水を流せ」と貼り紙が言っている形となる。
そんなに「糞の置いてけぼり」が流行しているのだろうか?
水を大切に使えと書かれている貼り紙もよく見かけるが、水を流せという貼り紙も珍しい。
ではここのトイレはこれで終わりなのだろうか?
いいえ、ここならではのものがあるんです。ここじゃないとダメなんです。
先ほど施設の壁に貼られていた「トイレ→」の貼り紙、それらに誘導されるままに男子トイレの前まで来ると、ここならではのものが目に入ったのだ。
「男子WC」
さあ、何を想像されますか?
日本人のDNAに刻まれた、日本ならでは例のキャラクターを模した男子トイレ表示。そしてこのキャラクターが分かると、だいたいここが都内のどこら辺なのか分かってしまう。しかしこのキャクターを隠しておけないほどに周りを見れば、
「自動販売機→」
「↑公園」
「公園↑
↓●●●●●●館」
と、あちらこちらの表示にこの印象深い台形が使われている。
察しのいい方は当に気付いておられるだろうが、ここのブログでは場所は特定したくないので最後まで誰の顔かは言わないでおく。読んでおられる方で何のキャラクターか分かっても黙っててくんなせい。
さらには周りの吹き抜けの壁を見渡せば、
飛び出した台形が東西南北と四方を囲んでいる。
今にも顔が飛び出して来そうだ。
異国の方から見ればさぞや不思議な光景に違いない。私が見てもかなり不思議な装飾だ。ベルサイユ宮殿なんかに一つくらいあってもいいんじゃないかしら。
もうこれなんか、
あきらか!言ってる。言ってる。
凄く記号としては限られているんだけど、もう99%言ってるようなものだ。
「わたくし~生まれも育ちも~●●●●
●●●でうぶ湯を使い
性は● 名は●次郎
人呼んで フーテンの●と発します 」
ええ、例のキャクターの記念館があるところです。目などの記号がなくても帽子と顔の形の輪郭だけで、誰だか分かる日本を代表する兄貴。タレントの所さんの次にニックネームに「さん」付けが絶対的に含まれている兄貴。ちょっと喧嘩早くて人情味溢れる、日本がなくしちゃいけない故郷を懐に抱えた兄貴。
●さんは顔が四角くなければ●さんじゃない。
有名なキャラクターはそのシルエットだけでも、見た人のシナプスにピピピと認識してもらえるのだ。
それでもこのまま伏せたまま突っ走ります。
極めつけは、
もうどこも隠してないですね。
ほとんど意味はないだろうけど、せめて目だけはこちらで伏せておいた。
そんな日本人の魂とも言える氏の手の平には、
「倒れると危ないので
ぶらさがらないでね。」
氏も歳だものね(正確には天国在住ですが)。
人情味溢れるお言葉でした。
・女子マネージャー列伝 (明日更新予定)
・天が呼ぶ 地が呼ぶ お客様が呼ぶ!消費者言いがかり連絡会 (テコ入れ準備中)
・猫烏丸OP (更新済み)
「厠イヤミ百景の一景」
都内、某施設にて
http://www.leolio.com/index/KAWAYA/KAWAYA_menu.html