松茸の露
初日の出ではないけども、光指すトイレ内。
光が強過ぎて分かりづらいと思うが、何もそこまで置かなくてもと小窓に並ぶ消臭ポットは黄・青・赤と三原色を抑えている。
そしてそんな光指す小窓の下に何かが掲げられているのが分かると思う。
拡大してみよう。
「急ぐとも
心静かに手をそえて
外へもらすな
松茸の露 」
一句書かれたその文面、これが上司の家の応接間にでも飾られていたならば、高名な方の書の如し、あるわけのないありがたみと過剰評価故の深い価値観を見出してしまいそうになるが、ここはトイレ。日本食の飲食店のトイレだ。
そして男子トイレだ。
この文面がトイレですることを指していることを表していることに気付く。
急がなくても心静かに手を添えろと。
そして外に漏らすなと。
何を?松茸の露を!
松茸とは?もちろんチ●コのことを指しているのだろう。
そして露とは尿であることは明らか。
女性には分かりづらいと思うが、小水用便器への放尿でさえ「おこぼし」をしてしまう人がいる中、洋式便器への立ちションというのはそれなりに的を外さない的確なテクニックを必要とされる。
ペロンと前のチャックを開ければ、松茸がにょっこりこ。
もちろんフリーハンドでの放尿は自殺行為としか思えないほどあちらこちらに飛ぶ。出てくる尿の勢いにより松茸自身がさらに動いてしまい、そこは地獄絵図。
また松茸に手を添えていたからといっても、出てくる尿という名の水流はホースと己の意図を超えた動きをすることがあるのだ。尿道の途中に尿結石でもあるのならともかく、思わぬところでカーブを描くときがあるから気を緩めることが出来ない。これが和式便器ならさらに難易度は増すことこの上ない。
そんなときにこのありがたみがありそうな貼り紙が思い出せと呼びかけてくることだろう。
「急がなくてもいいんだなあ
心静かに手を添えて
外へ尿をもらさない
そんな松茸だもの」
と。
いや、どうせならこんな感じか。
「こぼしたっていいじゃないか
松茸だもの」
いかんいかん、書かれた方の意図と内容が違ってしまった。
最近の歌の歌詞のようにすれば、
「急がなくてもいいじゃない
その手を胸とあそこに当てて
Control and get your その尿
松茸は一人じゃない 」
後ろに見知らぬ誰かさんがいてもらっても困るという話だ。
それに松茸が二本生えていても非常に困る。
ともかく日本食の店の雰囲気を壊さない装飾のされた貼り紙、風味と洒落の効いた逸品だった。
やはり応接室に飾ってあれば別解釈をしてしまいそうだ。
にしても例のモノの例えはいろいろあれども、松茸は言い過ぎのような気がする。
皆が皆、松茸というほどのものじゃない。そんなに高級品じゃないです。中国産とか。
もしくは「えのき」程度です。
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今年も「厠イヤミ百景」をよろしくお願い致します。
四国、某日本食レストランにて