ゲーセン野郎
デートが一日中ゲーセン。
明けても暮れてもデートの場所がゲーセンというカップルもいることだろう。
ツアー旅行なんかに参加した際に、コースの一箇所で旅行会社と提携したお土産屋に立ち寄るが如しの頻度ならまだしも、ツアーのメインも見所もなんなら集合場所も解散場所もゲームセンターというカップルもいるだろう。
別にその場合のツアーコンダクターが男性とは限らないが、さすがに女性が好きそうなプリクラやUFOキャッチャーで一日は潰れないだろう。そうなるとゲーセンデートは男性主体と考えてしまう。
別にゲーセンでワンデイ過ごすのが悪いとは思わないが、ゲームが上手いからといって男の株が上がるとは思えない。
それならば、まだ一日競馬場デートの方がいいだろう。
そっちならば馬を見る目と運次第では、夜の食事のグレードを上げることだって可能だ。
まあそんなことどうでもいいのだが、ゲーセン特有のあの自動ドアをくぐってから顔にかかってくる籠もった空気はなんなのだろう。
少しパチンコ屋の空気にも似た、ヤニ交じりのホコリっぽさたんまりのあの空気。昼間だろうが少し薄暗い店内、チカチカと光る電飾、大きめの音量の有線。そういった店内の雰囲気込みで、空気に少しブレンドしてみましたといった感じで、普段なら茶碗二杯食べるご飯も一杯に抑えたくなるあの空気。
幼稚園からあの空気が漂ってきたら、明らかにアウトだろう。
屋根のあるところ、その下ではその場所特有の匂いというものを持っているものだが、ゲーセンのあの空気はゲーセンのものだ。店内にしばらくいて、出てきた際に外の空気が若干美味く感じる。
まあ遊園地まで行かなくても、気軽に楽しめるエンターテイメントとして悪くないし、冒頭でも書いたがお二人さんが楽しく時間を潰すにはもってこいだろう。一日中は駄目だとしても。
そして何より誰でも入れるので、トイレチェックもお気軽に出来るときたもんだ。
「トイレをご利用になられる方々へ
最近、トイレ内におきまして、
いたずらが原因と思われる故障が
多発しております。
このような行為は、他のお客様の
ご迷惑となりますので、
お止めくださいますよう
お願い申し上げます。
また、フロアおよびトイレ内に
おきまして不審な行為を見かけた方が
いらっしゃいましたら、
当店スタッフまでお知らせ下さいませ。
ご協力お願いいたします 」
どうした？便器がスロットにでも見えてしまったのか？
きっとコインメダルをトイレに流してしまうような輩がいるのだろう。
またここの立地がかなり大きな繁華街のど真ん中ということもあり、特に夜など魑魅魍魎あらゆる種の方々が来れば、そりゃあ中にはゲーム機とトイレの区別がつかなくなっている方も訪れるだろう。
中には、ダンスダンスレボなんとかや、太鼓の達なんとかと勘違いして便器を踏んだり叩いたりしてみる方もいるかもしれない。白い便器はただただ寡黙に耐えるだけ。
そして洗面所のそばには、
「誠におそれいりますが
こちらのお手洗いは
見回り・点検もかねまして
当店のスタッフも使用させて
いただく場合もございますので
ご了承くださいませ。 」
ちょっとした荷物置きの場所に上記の貼り紙。
よく建物の構造上とスペースの問題から、従業員専用トイレを構えることが出来なかった店の中にある定型文のようなものだ。おきまり文句だが、トイレの場所がなくて客と同じトイレを使っているのではなく、前提にあるのは「見回り・点検」だと大義名分を提示出来るのでよく使われる。
「修学旅行」は遊びじゃなくて、表向きは勉学のための旅行と言い切るのにも似ている。私立の学校など、海外に行かなければ勉強出来ないのだ。
もしくは、何か嫌な事があっても、「これもいい人生勉強になった・・・」と自分自身で納得する着地地点を決めるのにも似ている。
そんなに見回りしていれば、便器を破壊されることもないだろうと思われるだろうが、個室の中というのは実にシークレットなことになっているので仕方ない。
いくら先生が見回りしてようが、枕投げは行われるのだ。
そしてここのトイレの取り上げるべき点は次にある。
「お願い
いつもご利用頂きありがと
うございます。誠に恐れ入り
ますがこちらのトイレのドア
はお閉め下さいますよう何卒
お願い申し上げます。
」
別に個室のドアのことではない。
便器にいたずらしていると疑われるくらいなら、鼻っからオープンに用を足してやろうとした、メンタル部分が弱いんだか強いんだか分からない人に向けたものではなく、ここで指すドアとは、このトイレ空間とゲーセンのエリアを隔てているドアのことだ。
つまりは入口のドアを開けっ放しにしてもらうと困るんだなと言っている。
ここのトイレは、よくある建物のフロアの隅の隅や、ちょっとした通路の奥にあるとかではなく、ドア一枚隔ててゲーセンエリアだ。これは小さいゲーセンでよく見掛けるのだが、何気ない壁のドアを開けるといきなりトイレだったりする。
そういうこともあり、あまりドアを開けっ放しにされては店内の絵的にはお良ろしくないということでこのような貼り紙がトイレのドアの内側に。
そう、これがトイレのドアの内側だ。
では、外側。つまりはゲーセンの店内側は？と問うならば、こう来る。
男性トイレと一目で分かるシルエット。
それがドアいっぱいに。
ちょっと片腕がへしゃげているようにも見えるが、横一直線に並んだラインこと怒り肩の男性。
一体何を？誰を？元にこのシルエットを描いたかは知らないが、ズボンのポケットに入っていると思われる手、少し横に傾いた顔といい、とても客を迎え入れている方のシルエットではない。
もうちょっと引いてから撮れれば全身が入ったところだが、何分トイレのドアを開けてすぐにゲーム機が並んでいるので、そんなに下がって撮るスペースすらなかった。そりゃあ、場所が空いている限り、店側としては機体を稼働させた方がいいはずだ。
にしても、客を迎えている態度ではない。
少し脚色しておいた。
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「厠イヤミ百景の一景」
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最近の更新（適当に
・女子マネージャー列伝 （更新予定）
・天が呼ぶ 地が呼ぶ お客様が呼ぶ！消費者言いがかり連絡会 （更新済み）
・歩こうの会おざな （しばらくお休みです）
都内、某ゲームセンター内にて
